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「幕末・明治の超絶技巧」 泉屋博古館分館 [旅行]

「うわあぁ~、たまげた!」 幕末明治の金工芸の数々。泉屋博古館の特別展です。

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<明治期の工芸のレベルは最高>という話は聞いていましたが、実際に展示室狭しと並んだ金工芸を目のあたりにして、本当に圧倒されてしまいました!

下の二点はいずれも、”正阿弥勝義”作の「群鶏図香炉」

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本体は銀地で、赤銅などの各種金属を組み合わせて、象嵌の技巧を駆使し、群鶏の生態を生き生きと描いた素晴らしい作品です。ドーム型の火屋には、それぞれ苦瓜・小菊を浮き立たせて(高肉彫りと言うそう)、摘みの蟷螂と雄鶏は丸彫りです。全くもってチラシのとおり、”超絶技巧”と呼ぶほかありません!

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これも、同じ作者の「蓮葉に蛙」

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下も、”正阿弥勝義”作の「柘榴に蝉飾器」 まるで本物のようなセミ。本体は素銅だとか、鎚目も色も魅力的。蓋物ですが、あまりにぴったりと合ってるので、分かれているとは思えない。

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これも正阿弥勝義、「鮟鱇花瓶」です。アンコウが立ってる!その顔がとっても面白かった。アンコウの下には、ハマグリやハモやサンゴなどの魚介がからみついています。どうしたらこんな奇抜なデザインが思いつけるのか?

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下は「瓢箪に天道虫花瓶」 ガレもビックリでしょ。そうか!ガレに影響を与えたのはこちらの方でした!

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展示室にずらりと並ぶ”勝義”の作品群。もうすべてお見せしたいほど!

幕末・明治の工芸家といえば(絵師でもある)”柴田是真”しか浮かばなかった私は、「ガア~ン!」と頭を殴られたよう。”正阿弥勝義”という人のあまりのすごさに、ショックを受けてしまいました。「いったいどんな人なんや!」

下の写真はやはり勝義作の小刀の”金装具”です。

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明治の”廃刀令”で装剣金工の職人は職を失い、”廃仏毀釈”で仏像、仏具の新造も停滞、美術工芸の世界ではパトロンであった藩や商人の後ろ盾もなくなり・・・・と、維新の波は鋳物師や彫金工など伝統的な技術を持つ職人を襲いました。

そんな中で新政府は、工芸品の輸出振興政策や産業振興政策に伴う勧業博覧会の開催を行い、政策として芸術の育成を試みたそうです。帝室技芸員制度などもその一例ですね。
金工の世界も例外ではなく、万国博覧会への出品など、新時代にふさわしい作品への挑戦でようやく活況を取り戻していったそうです。

次の写真は日英博覧会に出品された”塚田秀鏡”作の「年中行事図十二ヶ月小柄」
今回の展示品では、こうした刀剣装具も多く、改めて伝統技術の高い技に唸らされました。刀剣装具のことはあまり興味がなかったのですが、塚田秀鏡は柴田是真に絵を学んだ人だそうで、絵の構成や描写に自由な作風を感じます。

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これも刀剣装具。”小柄”と”目貫”です。作者は”後藤一乗”
「散梅図小柄」「栗柿図目貫」「白拍子目貫」

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そして、”正阿弥勝義”もそんな金職人の一人。津山藩お抱え金工であった父のもとで修業し、18歳で岡山藩お抱え金工の正阿弥家の養子となり、刀剣装具の制作に励んだそうです。維新の後は工芸品の制作に活路を求め、国内外の博覧会での受賞を重ねます。60代後半の晩年に岡山から京都に移住。京文化が勝義の才能を一層昇華させたと解説に書かれています。勝義は特に生き物の写実に優れていますが、昔から武士の刀剣装具には、生命を育む小さな虫たちの意匠が好まれてきたそうです。京都では”若冲”の絵も見たのではないかと(コレクターの)村田氏はおっしゃっています。

今回の展示はほとんどが<清水三年坂美術館>の所蔵。帰ってから図録を読んでわかったのですが、コレクターで館長の村田理如氏は村田製作所の創業者の息子さん。特に今回は、あまり知られていなかった”正阿弥勝義”を全面に出して、その卓越した作品を巷間に知ってもらいたいという村田さんの意図があったそうです。なるほど!私の驚きは村田さんの予想通りであったというわけ。

もちろん正阿弥勝義だけでなく、名の通った名工たちの素晴らしいコレクションも続きます。まさに”眼福のひととき”。村田氏に感謝しながらもう少し紹介します。

下は”鈴木長吉”の最高傑作と言われる「十二の鷹」
写真では迫力が足りませんが目にすると圧倒されます。さまざまな姿態の実物大の鷹が止まり木にずらっと並んでいます。まるで生きているかのようです。長吉は実際に鷹を飼い、4年をかけて制作したそうです。

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海野勝珉作「花鳥図対花瓶」 
海野勝珉の名前は、「皇室の至宝展」でその作品を見て惚れ惚れしたのを思い出しました。帝室技芸員のコーナーでした。絵画より工芸品に優品が多かったのを覚えています。

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雪峰英友作、「菊尽香炉」

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私の好きな「自在置物」も数点ありました。前に三井記念美で見てから、とても気に入ってます。小さな昆虫や動物が生きているのと同じ動きをするのです。甲冑師の手で伝えられてきた技術だそうです。すばらしい技です!   

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本当に圧倒されてばかりの幸せなひとときでした。日本の工芸技術の奥深さを感じます。「清水三年坂美術館」にはぜひとも足を運ばなくてはなりません。


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